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2009年9月の記事一覧

ネーミング批評(1) 優雅、高級のイメージを見事に捉えた「ルイヴィトン」
ネーミング批評(2) 個性表現を忘れたユニクロ
ネーミングの極意(1) ことばのイメージ研究の特殊性
ネーミングの極意(2) 音相論が初めて捉えた感覚の世界
  音相システム研究所が行なっている事業
  ネーミングの分析・評価を行います
  ストック商標の再チェックを!
・・・経費節減で見落とされているもの
  音相理論の集大成書
「日本語の音相」および「ネーミングの極意」
をお分けします。
  赤ちゃんの最良の名前を選びます
・・・性格は名前の音で決まります

≪ネーミング批評(1)≫ 

「優雅、高級」なイメージを見事に捉えた「ルイヴィトン」

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ルイヴィトン

表情解析欄を見ると、高級感や優雅感を作る表情語 「P(安らか)、Q(安定感)、R(高級感、充実感)、S(高尚さ、優雅さ)、T(静的)」が高点で並び、それに続いてこのブランドのアピール・ポイントである表情語「L(鋭さ)、K(個性的)、A(明白さ)、F(軽快感)」 などを捉えています。

また情緒解析欄にはそれらをフォローするように、「あいまい感」、「人肌の温もり感」、「神秘的」、「孤高感」などの情緒語が出ています。

「ジバンシー、シャネル、ドルチエ、ロンジン、ストラディバリュウス」など、世界的に著名な高級ブランド名には、この語と同様「P、Q、R、S、T」を高点で捉えながら、個々のブランドの個性を表す表情語を添える形で表現しているものが圧倒的に多いのです。加えるのが常道です。

これは、高級ブランド名を考える上では欠かせてならないポイントといえましょう。

≪ネーミング批評(2)≫ 

個性表現を忘れた「ユニクロ」

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ユニクロ

ベーシックなアパレル商品を高品質化し、ブランドとして成功させた「ユニクロ」ですが、他のブランドと異なるところは、インナーに始まるベーシックなものに中心をおいたところに、大きな個性があるといえましょう。

だが、この語を分析すると、前項の「ルイヴィトン」と同ように「P、Q、R、S、T」項(高級感、優雅感)を上位に並べ、高級感を捉えているだけで、その個性である日常生活と結びつく「ベーシック」なものがどこにも表現されておりません。

そのため、ブランドがもつ実体と、「ユニクロ」という音相が伝えるイメージの間にちぐはぐなものが感じられ、それがブランド・イメージを不鮮明にしているところにこのネーミングの問題点があるようです。

それを表現するには、「現実(実用)的、合理的」および「庶民的、適応性」の表情語にある程度の高点が必要ですが、それらの項がすべてゼロポイントになっているからです。

それを表情語で表現するには、「有効音相基欄」に無声音または無声破裂音系の音がでていなければならなかったのです。

無声音とは、声帯を振動させずに出す音で、「カ、サ、タ、ハ行音」とそれらの拗音をいいます。無声音は、明るさや軽やかさなどのイメージを作ります。

また無声破裂音系の音とは、息を破裂させて出す無声音のことで「カ、タ、パ行音」とそれらの拗音をいいます。この種の音は明るさ、強さ、軽快感などのイメージを作ります。

≪ネーミングの極意(1)≫ 

ことばのイメージ研究の特殊性

ことばが伝えるイメージは、意味に劣らぬ働きをしていますが、日常語に見られるイメージの研究は、言語関係科学や文芸評論の分野などでもまだまったく手がけられておりません。

言語学の「意味論」で言語音のイメージについて述べてはいますが、その対象となっているのは明白な特徴をもつ一部の音素に限られているし、抽象的な表現で終っているため、実用されていることばのイメージ解析に取り入れるようなことはできません。

わが国でも鎌倉時代に僧仙覚が提唱し、江戸期の国学者、鴨真淵、本居宣長、橘守部などによって引き継がれた「音義説」というのがありました。

この説は「アは顕わるるさま」、「サは清らかなるさま」など、日本語の音節のすべてを捉えていますが、音節がもつイメージを限定的なことばで定義づけているため、暗い意味をもつ「穴」の語に含まれる「ア」は説明できないし、清らかさのない「どさくさ」という語の「サ」の説明はできないなど、現実のことばに適用できるものではありません。

このように、ことばの音が作るイメージ(表情)を体系づけたものがどこにもないため、専門家の間でも「語感」や「語呂」などというあいまいなことばしか使われていないのが現状です。

これら諸説にみられる欠陥は、感覚的な要素が多く含むことばのイメージを、音素という無機的な単位で捉えたところに無理があったといえるのです。

音声学では日本語の音声を成り立たせている音をp、t、m、k、s・・・などの子音と、a、i、u、e、oの母音の合計28個の「音素」で捉えますが、音素は語音に含まれる感覚部分を除いた、無機的な「音の単位」にすぎないのです。

だが「t(タ行の子音)」という音素は「破裂音と無声音」という調音種(注参照)でできており、音素「m(マ行の子音)」は「摩擦音と有声音」でできているなど、音素はすべて「破裂音、摩擦音、無声音、有声音」などの調音種によってできていますが、調音種はどれも固有のイメージを持っています。

 

(注) 調音種には、声の出し方から生れるものと、声を出す場所から生まれる、
次の種類があります。
 
(1) 声の出し方で生れるもの
破裂音、破擦音、摩擦音、接近音、鼻音、流音、有声音、無声音
(2) 声を出す場所から生れるもの
両唇音、前舌音、喉頭音

そのため、ことばの音は音素よりも一段下にある調音種で捉えると、イメージ(表情)を取出すことができるのです。

前記tとmにでてきた4つの調音種は次のようなイメージを伝えます。

 

破裂音(息を破裂させて出す音) (イメージ)活性的、強さ、単純さ・・・
摩擦音(息を摩擦させて出す音) (イメージ)清らか、温か、穏やか・・・
無声音(声帯を振動させずに出す音) (イメージ)明るい、爽やかさ、軽さ ・・・
有声音(声帯を振動さて出す音) (イメージ)落ち着き、優雅、非活性的・・・

音相論ではここで上げた破裂音や摩擦音など、イメージを作る音の最小単位を「音相基」と呼んでいます。

音相基には28個の調音種のほか、濁音、無声化母音、順接拍、逆接拍、調音種比など合計40があり、音相基がもつイメージを甲類表情と呼んでいます。

また、ことばが伝えるイメージには音相基同士の響きあいから生れるものがあります。これを乙類表情といいます。

乙類表情には38個があります。

ことばからイメージ(表情)を取出すには、甲類と乙類表情を捉えたうえ、甲類に含まれている「表情語」同士の響きあいから生まれる「情緒」を捉え、それらを総合することで始めて捉えられるものなのです。

数年前、この理論の一部を真似た本が出版されました。それによると、「濁音は子供が好む音」「タは頭を叩く感じの音」などと、1つ1つの音(拍)が伝えるイメージを個人のカンで決め、それを使ってネーミングや姓名判断などをしているようですが、ことばが作るイメージは個人のカンや主観などでは捉えられないものであることは、ご理解いただけたかと思います。

≪ネーミングの極意(2)≫ 

音相論が初めて捉えた感覚の世界

前項で、ことばのイメージは感覚要素が含まれている「音相基」を用いることで初めて得られるものだと言いましたが、このことは音相理論が言語学や心理学、音声学など言語科学に関わる部分と、文芸その他感性的な分野の間(はざま)で成り立つことを意味します。

そこにこの理論の仕組みの複雑さがあり、特殊な解析法が生まれるのです。

音相理論には「感覚」要素が含まれるため学問の対象にはならないし、文芸やネーミングなどことばの実用分野からは取組まねばならない対象の広さが敬遠されて、どちらからも研究されないまま置かれているのが現状です。

これは「ことばのイメージ」という特異な研究が背負わねばならない宿命のようなものだといえますが、そこに私は理論としての魅力と価値を感じるのです。

本論の体系化に当たっては、「やまとことば」の音用解析に始まる多くの試行錯誤を繰り返す苦難の過程がありましたが、そういう中で捉えたものを現代の「生きたことば」に適応させると、この取組みの初期のころに思い描いた近くまで来ていることに気づくのです。

音相理論は言語科学の対象とは異なりますが、ことばの奥の感性部分が具体的に解析できる唯一の技術のように思うのです。

音相システム研究所が行なっている事業

当研究所では、次の事業を行なっています。

1. ことばの科学が対照にしてこなかった「現用されていることば」(商品等のネーミングを含む)に含まれるイメージ(表情)を、客観的な根拠によって解析し、評価を行う種々のプロジェクト。
2. 詩、俳句、小説など文芸作品に含まれるキーワード(主要語彙、フレーズ)などの音相を分析し、作者の創作意図や心性などを解析するプロジェクト。
3. 学術用語、業界用語、俗語、外来語その他、あらゆることばが伝える「イメージ」に関する調査および論評、提案等のプロジェクト。
4. 企業等が保有している大量のストック商標や、懸賞募集などで集めた大量の未発表案から商品コンセプトにふさわしい語を、科学的根拠をもとに抽出するプロジェクト。
5. 姓名の音相を分析して基本性格等を解析するほか、新生児に期待したい性格を入力してコンセプトにかなった名前を推薦する等のプロジェクト。
6. その他、ことばが伝えるイメージに関する分析、論評およびコンサルティング。

ネーミングの「分析・評価」を行います。

当研究所では、次のようなネーミングの分析および評価を行なっています。

(1) 個別評価 ・・・  「ネーミング批評」欄にあるような内容で細密分析および評価を行なうもの。
分析に当たっては、発注者のご意向などを十分斟酌しながら行ないます。
(2) 総合評価 ・・・  大量のネーミング案の中から優良案を短時間で取り出すもの。
 あらかじめその商品のコンセプトをコンピューターに入力し、それに大量案を入力して、個々の案のコンセプト表現度を捉え、上位の案を前記(1)の「個別評価」で細密分析して最優良案を推薦するもの。
音相分析と評価の料金表(消費税別)
(1) 個別評価(本評価)
  1語(1分析) 30,000円
(2) ラフ評価
(注) 「ラフ評価」は総語数20語以上で、本評価語数3語以上の場合に行ないます。
・ラフ分析料 50語まで 1語 2,000円
  100語まで 1語 1,800円
  1,000語まで 1語 1,200円
  1,000語以上 1語 800円
・コンセプト調整費     70,000円
・本評価料   1語 30,000円
(3) その他
作業内容等により、コンサルタント料、特別調査費等を申しうける場合があります。

ストック商標の再チェックを!
・・・経費節減で見落としているもの

バブルのころ、各企業では将来発売される商品のため、ネーミングを商標登録する施策が広く行われました。

その種のものがいま企業内でストック商標となって大量に保管され、商標権維持のため特許庁に毎年多額の更新料を支払っています。

商標登録の申請は、化粧品、薬品、衣料品、食品、電気製品、コンピューターなど45の「区分」ごとに行ないますから、無関係と思える区分にも同じ名称で申請するため、45区分の半分くらいに申請する例も少なくありません。

認可をうけた商標は、10年ごとに一区分48,500円の更新料を支払いますから、100語を20区分に登録している会社では、10年ごとに9,700 万円(年平均970万円)の支出となります。

この費用は企業内でも問題になりながら、ネーミングの価値を客観的に評価できる理論や技術がなかったため、やむを得ない支出とされていました。

だがストック商標の中で、将来使用に耐えるものがどれほどあるかが問題です。

当研究所が調査したところでは、保有をしても将来成果の期待できないものが三分の一以上あることが明らかになっています。

そこでこれら商標の、評価の見直しが必要となるのです。

「当社ではその種の調査は実施済み」とお思いかもしれませんが、商品コンセプトとの関係で真に有効かどうかを客観的に評価できる技術は「音相解析法」をおいてほかにありません。

未使用商標の実態(推測)とその活用例

この解析法は、当研究所が開発したOnsonicソフトを用い、次の方法で行います。

ストック商標を商品コンセプトごとに分け、個々のコンセプトをコンピューターに記憶させたうえ、そのグループの商標名を入力して1語ごとのコンセプト表現度を数値によって取り出すものです。

分析の結果、その商品に適さないものは他の商品や他事業部に回してヒット・ネーミングになった例がありますし、社内で利用できないものはそれなりの対価を得て社外へ譲渡することが可能です。

音相理論の集大成書
「日本語の音相」および、「ネーミングの極意」をお分けします。

「日本語の音相」(木通隆行著、小学館スクウェア刊、)および「ネーミングの極意」(同著、筑摩新書刊)はすでに絶版となっていますが、当研究所に余部がありますのでお分けします。本書の内容はこちら

郵便番号、住所、氏名、電話番号、冊数、誌名」をメールでご連絡(こちら)いただけば郵便でお送りします。

頒布価額(送料とも) ・・・ 「日本語の音相」 2,850円
  「ネーミングの極意」 1,000円

【読者の感想】

●詩歌の音楽性を明らかにした画期的快著

日本の伝統的詩歌において不毛だった音楽性の重要さを解明された画期的な研究です。俳句の実作者としても、深く琴線に触れるものがありました。

短歌や俳句の音韻面については、折口信夫の『言語情調論』などはあってもまだ不十分で、「調べ」という曖昧な概念から抜け出ておりません。先生の「音相理論」はそれを闡明されたものと考えます。

「俳句スクエア」代表、五島篁風 (医師)

●音相という素晴らしい世界を知りました

「日本語の音相」、深い感動をもって読みました。

音相を知らずに日本語の鑑賞や評論などできないことをしみじみ知りました。目の覚めるような感動でした。

(富山、日本語研究グループ hirai)

赤ちゃんの最良の名前を選びます
・・・性格は名前の音で決まります

「けんいち(健一)」という名前を聞くと、誰もが明るく行動的な人を想像し、「みさき(美咲)」からは爽やかで活発な人をイメージします。

人は自分の同じ名前を呼ばれて育つうち、その名の音が伝えるイメージ(音相)がその子自身のイメージとなり、それが性格の中へ入ってゆくのはきわめて自然な成り行きといえましょう。「名は体をあらわす」ということばも、そんなことから生まれたものといえるのです。

人の性格はその後の環境などで種々のものが加わりますが、幼いころ身につけたものは基本的な「気質」となって、生涯心の奥に止まり続けます。

そのため、大成した政治家の名前の音を分析すると、「行動的」、「社交的」、「明るい性格」などがほとんど例外なく高点で出ますし、芸能人では「派手」、「社交的」、「個性的」などに高点の出る人が多いのです。

このように、名前の音は性格の基本を作りますから、生まれてくる赤ちゃんを「健康で社交的な性格になってほしい」と思ったら、そういうイメージを作る音の入った名前をつけてあげなければならないのです。

名付けにあたっては、字画などで運勢面を調べることも大切ですが、幸せな性格になる音の選択は、赤ちゃんへの何よりのプレゼントだといえるのです。

当研究所では、幾つかのお名前案と、こんな性格になってほしいという願い(コンセプト)をお知らせていただくと、それに叶ったお名前を選んでお知らせします。

1. 伝えていただく事項
  (1) 赤ちゃんの性別
  (2) 赤ちゃんにつく苗字
  (3) 候補に上っているお名前案(数に制限はありませんが、必ず案をお示しください。)
【注】(2)と(3)項は、「いっぺい」は「いっぺー」、「ヨウコ」は「ヨーコ」のように、発音どおりを仮名書きしてください。
  (4) 赤ちゃんに期待される性格
 3~6項目程度に絞り、なるべく箇条書きしてください。
  (5) お申込者の郵便番号、住所、氏名、電話番号
2. 申込方法 このホームページの「お問い合わせ」欄から。
3. 報告書の発送 評価結果は1週間以内に、郵便でお送りします。
4. 料金 分析料 1分析 3,500円 (消費税別)
(お名前案が3案あるときは3分析となります。)
送金は報告書に同封する郵便局の振替口座用紙をご利用ください。
ネーミングの分析・評価を行います